鵜来級海防艦 (日本海軍, 1944)

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鵜来級海防艦(うくるきゅうかいぼうかん Ukuru class escorts)。基本計画番号 E20b

概説

 海防艦はあまり知られていないが、結局は船団護衛を主な目的として量産された艦種である。「結局は」と書いたのは、当初はそういう目的ではなかったからであるが、結果としてそういうことになった。設計の眼目は船団に追従するための長大な航続力と量産性である。大戦勃発当時の(船団護衛型の)海防艦は4隻に過ぎなかったが、船舶の被害が増大するに至って昭和18年半ばに艦艇建造緩急順位を定めた時に優先度一位とされ、最終的に172隻が建造された。鵜来級は、海防艦の中では比較的高性能(その代わり量産性は劣る)の甲型といわれる系列の最終発展形で、63隻が計画されたが30隻は建造取りやめとなり、4隻は終戦時未成で、完成したのは29隻である。設計に際しては工数の削減につとめ、艦尾を直線状のトランサム・スターンとし、甲板のキャンパー(水はけのための外舷向けの傾斜)も廃止し、艦首は円錐形のファッション・プレートを採用、シアやフレアも直線状とし、艦底からのカットアップも直線とした。こういった徹底した簡易船型の採用には根強い反対意見もあったが、実用的にはあまり大きな問題ではなかったという。最終的には鵜来級の工数は3万程度となり、平均4ヶ月で就役にこぎつけることができた。甲型の初期型では、艦隊護衛なども考慮した多目的のものとされ、掃海具なども装備された。これが結局は徹底を欠くものとなったが、鵜来級においては掃海具などは撤去され、その代わりに爆雷兵装が飛躍的に強化された。後甲板には爆雷投射機や爆雷投下軌条がぎっしりと並べられ、爆雷庫からの揚弾も円滑に行なわれるよう考慮されていた。まず、当時の日本海軍では最良の対潜艦であったといってよかろう。しかし、日本海軍の対潜装備の根本的な弱点である、前投対潜兵器の欠如および対潜ソナーの貧弱さはいかんともし難かった。

主要要目

排水量: 基準 940t, 公試 1004t
長さ: 垂線間長 72.5m, 水線長 77.5m, 全長 78.8m
全幅: 9.1m
喫水: 3.06m
機関: 2軸 艦本式22号10型ディーゼル 2基, 4200bhp
速力: 19.5ノット
兵装: 12cm/45口径砲 連装1基単装1基 3門, 25mm対空機銃 6門, 爆雷 120発
乗員: 約150

一覧

計画 艦名 建造 起工 進水 就役 艦歴 記事
昭17 鵜来 Ukuru 日本鋼管 1943.10.09 1944.05.15 1944.07.31 (海防艦) 1945.11.30 除籍
1945.12.01 掃海艦
1946.07.10 掃海母艦
1947.12.02 指定解除
1947.12.26 運輸省海運総局へ移管
(中央気象台定点観測船 鵜来丸)
1949.01.01 海上保安庁へ移管
(巡視船 さつま)
1965.11.24 解役
昭17 日振 Hiburi 日立桜島 1944.01.03 1944.04.10 1944.06.27 (海防艦) 1944.08.22 戦没 (被雷)
1944.10.10 除籍
マニラ湾口
昭17 昭南 Shonan 日立桜島 1944.02.23 1944.05.19 1944.07.13 (海防艦) 1945.02.25 戦没 (被雷)
1945.04.10 除籍
海南島南方
昭17 大東 Daito 日立桜島 1944.02.23 1944.06.24 1944.08.07 (海防艦) 1945.11.16 喪失 (触雷)
1945.11.20 除籍
対馬海峡東水道
昭17 沖縄 Okinawa 日本鋼管 1943.12.10 1944.06.19 1944.08.16 (海防艦) 1945.07.30 戦没 (航空攻撃)
1945.09.15 除籍
舞鶴
昭18 久米 Kume 日立桜島 1944.05.26 1944.08.15 1944.09.25 (海防艦) 1945.01.28 戦没 (被雷)
1945.03.10 除籍
黄海
昭18 生名 Ikuna 日立桜島 1944.06.30 1944.09.04 1944.10.15 (海防艦) 1945.11.30 除籍
1945.12.01 掃海艦
1946.07.10 掃海母艦
1947.12.26 指定解除
運輸省海運総局へ移管
(中央気象台定点観測船 生名丸)
1949.01.01 海上保安庁へ移管
(巡視船 おじか)
1963.05.25 解役
昭17 新南 Shinnan 浦賀船渠 1944.05.24 1944.09.05 1944.10.21 (海防艦) 1945.11.30 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1946.07.10 掃海母艦
1947.11.01 指定解除
1947.12.26 運輸省海運総局へ移管
(中央気象台定点観測船 新南丸)
1949.01.01 海上保安庁へ移管
(巡視船 つがる)
1966.06.03 解役
1967.10 石油開発公団へ譲渡
昭18 屋久 Yaku 浦賀船渠 1944.05.24 1944.09.05 1944.10.23 (海防艦) 1945.02.23 戦没 (被雷)
1945.04.10 除籍
仏印沖
昭17 粟国 Aguni 日本鋼管 1944.02.15 1944.09.21 1944.12.02 (海防艦) 1945.11.30 除籍
1948.05.20 解体完了
昭18 目斗 Mokuto 日立桜島 1944.11.05 1945.01.07 1945.02.19 (海防艦) 1945.04.04 戦没 (触雷)
1945.05.05 除籍
関門海峡
昭19 稲木 Inagi 三井玉野 1944.05.15 1944.09.25 1944.12.16 (海防艦) 1945.08.09 戦没 (航空攻撃)
1945.09.15 除籍
八戸
昭19 宇久 Uku 佐世保工廠 1944.08.01 1944.11.12 1944.12.30 (海防艦) 1945.10.05 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1947.07.04 米国に引渡し
売却解体
昭18 竹生 Chikubu 浦賀船渠 1944.09.08 1944.11.24 1944.12.31 (海防艦) 1945.11.30 除籍
1945.12.01 掃海艦
1946.07.10 掃海母艦
1947.11.01 指定解除
1947.12.26 運輸省海運総局へ移管
(中央気象台定点観測船 竹生丸)
1949.01.01 海上保安庁へ移管
(巡視船 あつみ)
1962.04.10 解役
昭19 羽節 Habushi 三井玉野 1944.08.20 1944.11.20 1945.01.10 (海防艦) 1945.10.05 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1947.09.06 米国に引渡し
売却解体
昭18 崎戸 Sakito 日立桜島 1944.09.07 1944.11.29 1945.01.10 (海防艦) 1945.11.20 除籍
1947.12.01 解体完了
昭19 久賀 Kuga 佐世保工廠 1944.08.01 1944.11.19 1945.01.25 (海防艦) 1945.11.30 除籍
1948.05.30 解体完了
昭19 男鹿 Ojika 三井玉野 1944.09.07 1944.12.30 1945.02.21 (海防艦) 1945.05.02 戦没 (被雷)
1945.05.25 除籍
黄海
昭18 神津 Kozu 浦賀船渠 1944.10.20 1944.12.31 1945.02.07 (海防艦) 1945.11.30 除籍
1945.12.01 除籍
1947.08.28 ソ連へ引き渡し
昭19 金輪 Kanawa 三井玉野 1944.11.15 1945.01.20 1945.03.15 (海防艦) 1945.10.05 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1947.08.14 英国へ引渡し
売却解体
昭19 志賀 Shiga 佐世保工廠 1944.11.25 1945.02.09 1945.03.20 (海防艦) 1945.11.30 除籍
1945.12.01 掃海艦
1946.11.01 米軍連絡船
1947.12.31 指定解除
運輸省へ移管
(中央気象台定点観測船 志賀丸)
1949.01.01 海上保安庁へ移管
(海上保安大学校練習船 こじま)
1964.05.06 除籍
昭17 奄美 Amami 日本鋼管 1944.02.14 1944.11.30 1945.04.08 (海防艦) 1945.10.05 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1947.09.10 英国へ引渡し
1947.12.20 解体完了
昭18 保高 Hodaka 浦賀船渠 1944.11.27 1945.01.28 1945.03.30 (海防艦) 1945.10.05 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1947.07.19 米国へ引渡し
1948.03.01 解体完了
昭19 波太 Habuto 日立桜島 1944.12.03 1945.02.28 1945.04.07 (海防艦) 1945.10.23 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1947.07.16 英国へ引渡し
売却解体
昭19 伊王 Io 舞鶴工廠 1944.11.25 1945.02.12 1945.03.24 (海防艦) 1945.10.05 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1948.07.02 解体完了
昭19 高根 Takane 三井玉野 1944.12.15 1945.02.13 1945.04.26 (海防艦) 1945.10.05 除籍
1947.11.27 解体完了
昭18 伊唐 Ikara 浦賀船渠 1944.12.26 1945.02.22 1945.04.30 (海防艦) 1945.11.30 除籍
1948.04 漁港防波堤として沈置
秋田県
昭18 四阪 Shisaka 日立桜島 1944.08.21 1944.10.31 1944.12.15 (海防艦) 1945.09.15 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1947.07.06 中国へ引渡し (恵安 Huian)
1949 中共へ
昭18 生野 Ikuno 浦賀船渠 1945.01.03 1945.03.11 1945.07.17 (海防艦) 1945.09.15 除籍
1945.12.01 特別輸送艦
1947.07.29 ソ連へ引渡し
昭18 大津 Otsu 日立桜島 1945.01.12 1945.05.10 1946.02.17 喪失
1948.03.25 解体完了
未成
浸水転覆
昭18 蔚美 Urumi 浦賀船渠 ? 1945.05.26 1946 解体 未成
昭18 室津 Murotsu 浦賀船渠 ? 1945.06.15 1946 解体 未成
昭18 友知 Tomoshiri 日立桜島 1945.03.05 1947.10.23 解体完了 未成