峯風級駆逐艦 (日本海軍, 1919)

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概説

 日露戦争以後、日本海軍の主敵はアメリカになった。対米戦の予想戦場は南洋群島方面である。対露戦の戦場であった日本海や黄海と違って太平洋は波荒く、これまでの300トン級駆逐艦ではとても長期作戦は行なえない。明治末にはじめて1000トンを超える海風級一等駆逐艦を建造してから日本海軍は大型航洋駆逐艦の建造を進めて来たが、それらはいずれのクラスでも2隻ないし4隻という少数に留まっていた。それはつまり日本海軍がこれらの大型駆逐艦に満足していないことを如実に示していた。重油石炭混焼だった罐を重油専焼とし、直結タービンをより効率の高い減速タービンとし、45センチ魚雷発射管を53センチ魚雷に強化し、12センチ・8センチ混載の搭載砲を12センチ砲単独とするなどの改良が施されていたが、機関の安定性は乏しく、航続力は不足し、凌波性も劣っていた。これらの問題の全てが解決されたわけではないが、ある程度実用に適すると判断されてようやく量産に移されたのが峯風級である。峯風級の外見上の特徴は、艦橋の直前に設けられたウェル・デッキである。これは前甲板に上がってきた波を一段低いウェル・デッキに落とすようになっており、艦橋への直撃を回避できた。これによって凌波性はそれまでの一等駆逐艦に比べて格段に向上していた。しかし、それでもまだ期待したレベルには達していなかったという。航続力も14ノットで3600浬に過ぎなかった。当時、日米で30ノットを超えるような巡洋戦艦の計画が進行中であり、味方艦隊に追随しかつ敵艦隊を迎撃するためにはそれまでの速力では不足気味になったため、この時点までの駆逐艦としては最大の3万8千馬力で39ノットの高速を発揮した。島風は公試の際に40.7ノットを記録している。もっともこれは高速実験のために2分の1状態で試験したもので正規の公試状態ではなかったが、この記録は同名の島風によって23年後に破られるまで日本の(排水船型の)艦艇では最高だった。峯風級は大正6~7年度計画で15隻が計画・建造された。うち後期の3隻は、主砲と発射管の配置を修正して使い勝手を改善しており「野風級」または「峯風級改」と呼ばれるケースがある。大戦当時にはすでに二線級化しており、一部の艦は開戦前に哨戒艇に格下げされている。また、矢風は無線標的艦摂津の操縦艦としての機能を追加していたが昭和17年に正式に標的艦に類別変更された。峯風級はもっぱら地方部隊、護衛部隊に配属されており、かなりの部分が戦没している。低速の海防艦が主力だった大戦末期の海上護衛戦において、老兵とはいえまだ30ノットを発揮できた本級は貴重な存在だったという。

主要要目

竣工時 (1920)

排水量: 常備 1345t, 満載 1650t
長さ: 垂線間長 97.5m, 全長 102.6m
全幅: 9.0m
喫水: 2.9m
機関: 2軸 三菱パーソンズ式減速タービン(高低圧) 2基, ロ号艦本式缶 4基 (重油専焼), 38,500shp
燃料: 重油 395t
速力: 39ノット
航続力: 3600海里/14ノット
兵装: 12cm/45口径砲 4門, 7.7mm機関銃 2挺, 53cm魚雷発射管 連装3基 6門, 機雷 20発
乗員: 148

哨戒艇 (1940)

排水量: 基準 1270t
長さ: 全長 102.6m
全幅: 6.9m
喫水: 2.9m
機関: 2軸減速タービン, 2缶, 10,000shp
速力: 22ノット
兵装: 12cm/45口径砲 3門, 53cm魚雷発射管 連装1基 2門
乗員: 不明

矢風 (標的艦)

排水量: 基準 1321t
長さ: 垂線間長 97.5m, 全長 102.6m
全幅: 9.0m
喫水: 3.13m
機関: 2軸 三菱パーソンズ式減速タービン 2基, 2 ロ号艦本式水管缶(重油専焼), 11,260shp
速力: 24ノット
航続力: 2230海里/14ノット
兵装: 5cm砲 1門, 25mm対空機銃 4門, 爆雷 8
乗員: 不明

一覧

計画 艦名 建造所 起工 進水 就役 艦歴 記事
大6 峯風 Minekaze 舞鶴工廠 1918.04.20 1919.02.08 1920.05.29 一等駆逐艦 1944.02.10 戦没 (被雷)
1944.03.31 除籍
台湾東岸沖
(米潜 Pogy)
大6 沢風 Sawakaze 三菱長崎 1918.01.07 1919.01.07 1920.03.06 一等駆逐艦 1945.09.15 除籍
1948 解体
大6 沖風 Okikaze 舞鶴工廠 1919.02.22 1919.10.03 1920.08.17 一等駆逐艦 1943.01.10 戦没 (被雷)
1943.03.01 除籍
千葉県勝浦南方
(米潜 Trigger)
大6 島風 Shimakaze 舞鶴工廠 1919.09.05 1920.03.31 1920.11.15 一等駆逐艦 1940.04.01 哨戒艇 (第一号哨戒艇 PB-1)
1943.01.21 戦没 (被雷)
1943.02.10 除籍
カビエン西方
(米潜 Guardfish)
大6 灘風 Nadakaze 舞鶴工廠 1920.01.09 1920.06.26 1921.09.30 一等駆逐艦 1940.04.01 哨戒艇 (第二号哨戒艇 PB-2)
1945.07.25 戦没 (被雷)
1945.09.30 除籍
ロンボク水道
(英潜 Stubborn)
大6 矢風 Yakaze 三菱長崎 1918.08.15 1920.04.10 1920.07.19 一等駆逐艦 1942.07.20 標的艦
1945.09.15 除籍
大6 羽風 Hakaze 三菱長崎 1918.11.11 1920.06.21 1920.09.16 一等駆逐艦 1943.01.23 戦没 (被雷)
1943.03.01 除籍
カビエン南西
(米潜 Guardfish)
大6 汐風 Shiokaze 舞鶴工廠 1920.05.15 1920.10.22 1921.07.29 一等駆逐艦 1945.10.05 除籍
1948 解体
大6 秋風 Akikaze 三菱長崎 1920.06.07 1920.12.14 1921.04.01 一等駆逐艦 1944.11.03 戦没 (被雷)
1945.01.10 除籍
ルソン島西方
(米潜 Pintado)
大7 夕風 Yukaze 三菱長崎 1920.12.14 1921.04.28 1921.08.24 一等駆逐艦 1945.10.05 除籍
1947.08.14 英国へ引き渡し
解体
大7 太刀風 Tachikaze 舞鶴工廠 1920.08.18 1921.03.31 1921.12.05 一等駆逐艦 1944.02.17 戦没 (航空攻撃)
1944.03.31 除籍
トラック島
大7 帆風 Hokaze 舞鶴工廠 1920.11.30 1921.07.12 1921.12.22 一等駆逐艦 1944.07.06 戦没 (被雷)
1944.09.10 除籍
セレベス島北方
(米潜 Paddle)
大7 野風 Nokaze 舞鶴工廠 1921.04.16 1921.10.01 1922.03.31 一等駆逐艦 1945.02.20 戦没 (被雷)
1945.04.10 除籍
カムラン湾沖
(米潜 Pargo)
大7 波風 Namikaze 舞鶴工廠 1921.11.07 1922.06.24 1922.11.11 一等駆逐艦 1945.10.05 除籍
1947.10.03 中国へ引き渡し
大7 沼風 Numakaze 舞鶴工廠 1921.08.10 1922.05.22 1922.07.24 一等駆逐艦 1943.12.19 戦没 (被雷)
1944.02.05 除籍
沖縄南東
(米潜 Glayback)